椿の、散るたびに

きれいに、椿が咲いているのを目にする機会がふえてきて、冬の到来を実感しつつある師走の始まり。
椿を見ると思い出す庭がある。
散っては、開き。
掃かれては、ちり。
転がる
石の
欠片の
蔭にさいた苔は
異次元への旅行券
だったのだ
転がる
ままに
こうさした時の
儚い蜜月に
月の
ない夜の
掌の
躍動と
まだらな
生命かんに


くぼんだ
穴ぼこを
いろいろな
感情で
埋めながら


椿を見ると思い出すのだ。